日常の家事労働や立ち仕事、あるいは舞台や神事などで「絶対に途中で解けては困る」という場面では、一般的な蝶結びではなく「綾結び(あやむすび)」や「からげ結び」が選ばれます。
綾結びは、たすきを背中で交差させた後、紐の端を交差した中心部にしっかりと絡めて固定する伝統的な結び方です。結び目に摩擦抵抗が強く働く構造になっており、腕を大きく上下させたり前屈みの体勢を繰り返したりしても緩みが生じません。
さらに現場で使われる「解けない裏技」として、以下の2つの工夫が挙げられます。
① 結び目を「本結び+端の挟み込み」にする
蝶結びは引っ張られる力で解けやすいため、一度しっかりと本結び(コマ結び)をしたうえで、余った端を背中のたすき紐の内側に上から下へと挟み込みます。これにより、振動や擦れによる解けを完全に防ぎます。
② 綿や正絹など「摩擦のある素材」を選ぶ
滑りやすいポリエステル製の平紐は結び目が緩む最大の要因です。作業用には綿の真田紐(さなだひも)や木綿縮緬、礼装や演舞には絹の組紐を使用することで、繊維同士が噛み合い、一日中激しく動いても固定位置がずれません。