「我慢の限界を超えた先に、一体何があるのか」。多くの人が抱くこの疑問に対し、脳神経科学は極めて明快な答えを用意している。ニコチンとアルコールによって絶え間なく刺激され、疲弊しきっていた脳の報酬系は、外部からの強い刺激が途絶えることで劇的な回復プロセスに入る。
刺激に慣れきって減退していたドーパミン受容体は、時間をかけて再生成されていく。これこそが、近年注目を集めるドーパミンデトックスの真骨頂だ。一定の「離脱期」を通り過ぎた瞬間、脳は驚くべき変化を見せる。朝起きたときの圧倒的な頭脳の明晰さ、質の高い睡眠、そして食事の微細な旨味に対する強烈な感動。依存物質に依存していた頃の「偽りの快楽」とは一線を画す、身体の内側から溢れ出すような本物の快楽が、脳の報酬系の再設計によってもたらされるのだ。