King Gnuの骨格を成すのは、異分野で頂点を極めかけた4人のスペシャリストたちだ。それぞれの経歴とプレイスタイルを紐解くと、バンドという枠組みを超えた有機的なアンサンブルの正体が浮き彫りになる。
リーダーの常田大希(ギター、ボーカル、チェロ、キーボード)は、バンドの全楽曲の作詞作曲を手掛けるメインコンポーザー。東京藝術大学音楽学部器楽科チェロ専攻を中退後、クラシック、現代音楽、ジャズ、ヒップホップを越境する独自の音世界を構築した。狂気と知性が同居するギターリフと、重厚なストリングスアレンジは彼の独壇場だ。
フロントマンの井口理(ボーカル、キーボード)は、同じく東京藝術大学の声楽科(テノール専攻)を卒業した稀代のボーカリスト。透明感あふれる美声のファルセットから、喉を切り裂くようなエモーショナルなシャウトまで、変幻自在の歌唱力で楽曲に強烈なドラマ性を宿らせる。ラジオや俳優業で見せるユーモラスな素顔と、ステージ上の求道的な歌声のギャップもファンの心を掴んで離さない。
ボトムを支える新井和輝(ベース、シンセベース、コーラス)は、国立音楽大学公認ジャズサークルなどで腕を磨いたジャズ・R&Bシーン屈指のプレイヤー。ウッドベースからエレキベース、シンセベースまでを自在に操り、複雑なコード進行を極上のグルーヴへと昇華させる。その的確なベースラインは、バンドのアンサンブルに揺るぎない土台を提供している。
そしてビートの要となる勢喜遊(ドラムス、サンプラー、コーラス)は、ミュージシャンの両親のもとに生まれ、幼少期からダンスとブラックミュージックに親しんできたドラマー。生ドラムのダイナミズムと電子パッドを駆使したデジタルビートをシームレスに横断し、King Gnu特有の変則的かつ強烈なグルーヴを叩き出す。