『君の名は。』『天気の子』とメガヒットを連発し、劇中音楽をRADWIMPSと共に妥協なく追求してきた新海誠監督。3作目のタッグとなった『すずめの戸締まり』の楽曲制作において、野田洋次郎氏と新海監督は「映画の象徴となる女性ボーカル」を求めて極秘裏に大規模なオーディションを実施しました。
集まったプロ・アマチュア問わない無数のデモ音源の中から、制作陣の耳を捉えて離さなかったのが、当時TikTokでひっそりと歌声をアップしていた十明の存在でした。野田洋次郎氏は公式インタビューやメディア発表資料において、彼女の歌声を初めて聴いたときの衝撃を次のように振り返っています。
「この楽曲と十明の間に、何者も入れないような強い結びつきを感じた。声の魅力はもちろんのこと、歌い出しの瞬間、まるで声と歌の境界線が溶け合っているかのような圧倒的な説得力があった」
また、新海誠監督も「少女の脆さや危うさと同時に、太古の時代から受け継がれてきた祈りのような響きが同居している」と絶賛。映画の主人公・岩戸鈴芽が背負う喪失の記憶と、災いの扉を閉めて未来へ歩み出す芯の強さを表現できるのは彼女の声しかないと満場一致で決定しました。メジャーでの実績や知名度に一切捉われず、純粋な「声の強度」だけで勝ち取った抜擢劇だったのです。