ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「『すいません』は関西弁など特定地域の方言だから使っても問題ないのではないか」という言説を見かけることがあります。しかし、国語学者や言語文化史の調査によると、これは完全な誤認です。
歴史的な音韻変化の記録を追うと、江戸時代後期の洒落本や上方狂言の台本にも「すいませぬ」「すいませぬかい」といった口語崩れの発話が散見されます。つまり、地域の方言ではなく、日本全国の庶民の間で発音の省力化(楽に喋りたいという人間の生理的欲求)によって自然発生した全国共通の口語現象(俗語)です。
もう一つの盲点は、変換ソフトの予測変換機能です。スマートフォンやPCで「すいません」と入力しても文脈予測で「すみません」と変換候補に出てくるため、「どちらでもシステム上公認されている」と錯覚しがちです。しかし、辞書登録されているからといって、ビジネスマナーや公用文として適切であることの証明にはなりません。