本作の狂気とも言える完成度を支えた最大の立役者が、監督を務めた本郷みつる氏だ。『クレヨンしんちゃん』の初代監督としても知られる同氏は、無垢な主人公がシュールな世界を漂う構造を極めて緻密に構築した。子供騙しの演出を徹底的に排除し、ブラックユーモアと文学的抒情性を融合させた手腕は圧巻の一言に尽きる。
さらに、主人公キョロちゃんの声を演じた渡辺菜生子の圧倒的な演技力も見逃せない。「クエッ」という極めて限られた一音のバリエーションの中に、純粋無垢さ、狂気、切なさ、そして哀愁までをも表現しきった。声優陣の迫真の芝居が、狂気的なシナリオにリアリティという名の生命を吹き込んだのだ。