バラエティの第一線で磨かれた人間観察力は、役者としての領域でも大きな結実を見せた。日曜劇場『テセウスの船』への出演は、その最たる例だ。物語の鍵を握る重要人物という難役に対し、一切のお笑い要素を封印して挑んだシリアスな演技は、視聴者と劇評家双方に強い衝撃を与えた。
芸人がドラマに起用される例は珍しくない。しかし、狂気と哀愁を孕んだ複雑な感情表現を演じ切り、役者としても確固たる足跡を残した例は稀有だ。舞台裏での圧倒的な集中力と役作りの深さは、単なるタレントのゲスト出演を超えた「本物の俳優」としての評価を勝ち取っている。