この劇的な変化を、世界のメガブランドが見逃すはずもない。保守的とも言える伝統的な化粧品産業にも、かつてない激震が走っている。資生堂は伝統工芸や現代アートと融合した前衛的なリミテッドエディションを投入し、老舗のプライドと先鋭的なビジュアルデザインの両立に挑む。一方、世界最大のラグジュアリーコングロマリットであるLVMH傘下のメゾンブランド群も、重厚なメタル素材やクチュールドレスの意匠をそのまま縮小したような贅沢なパッケージングで対抗する。
「中身さえ良ければ売れる」という職人気質の神話は静かに幕を下ろした。機能性は最高峰であって当たり前。その上で、所有者の美意識をどれだけ刺激できるかという、デザイン競争の新たな戦場が開幕している。