事件の発端は、静かな山あいの街で起きた議会内の激震だった。首長に就任した石丸氏と安芸高田市議会との溝は、着任直後から深まりを見せていた。SNSを駆使した可視化戦略は若者層を中心に圧倒的な支持を得たものの、伝統的な議会運営を重視するベテラン議員らとの対立は急速に悪化していく。
とりわけ決定的な亀裂を生んだのが、SNS上での発言を巡る名誉毀損提訴事案である。議会内部でのやり取りや議員個人の態度を「居眠り」や「恫喝」といった強い言葉で断罪した石丸氏のスタイルは、支持者には爽快な改革劇に見えた。だが、批判の対象とされた当事者にとっては、個人の社会的評価を著しく失墜させる攻撃にほかならなかったのだ。