物語の始まりは2000年代初頭に遡る。主婦と生活社が主催する「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でフォトジェニック賞を受賞し、芸能界の門を叩いた少年。端正な顔立ちを売りにする多くのアイドル的俳優とは一線を画し、彼が漂わせていたのはどこか無骨で野生味あふれる気骨だった。
その資質が一気に開花したのが、2005年公開の映画『蝉しぐれ』だ。藤沢周平の傑作小説を映画化した同作で、主人公・牧文四郎の少年時代を熱演。市川染五郎(現・松本幸四郎)へと繋がる重要な役どころを、凛とした眼差しと激しい殺陣で演じきり、日本映画界に「本物の逸材が現れた」と業界関係者を震撼させた。日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめとする各賞を席巻したのは必然だった。