錦織のキャリアは、常に怪我との戦いでもあった。右手首の手術、股関節の手術、そして長期離脱。トップランカーとしての栄光の裏で、絶望と背中合わせのリハビリ生活を余儀なくされる日々が何度も訪れた。特に精神的に追い詰められるリハビリ期間中、彼女の存在は錦織にとって最大の救いとなっていた。
食事管理からメンタルケア、日々の体調の変化に細かく気を配る生活。テニスプレーヤーとしての錦織圭ではなく、一人の人間としての「錦織圭」を温かく受け入れ、前を向かせ続ける作業は並大抵ではない。彼が幾度となく「もう一度コートに戻る」という強い情熱を維持できたのは、孤独なリハビリの時間を共に分かち合うパートナーがいたからこそだ。