事故物件と留学生の関係を語る上で避けて通れないのが、「事故物件のロンダリングに留学生が使われている」という黒い噂です。これは「事故発生後、最初の入居者にだけ告知すれば、次の入居者には告知義務がなくなる」という過去の業界慣行を悪用し、一時的に留学生を入居させて心理的瑕疵を帳消しにしようとする手口を指します。
この問題に大きな転換点をもたらしたのが、国土交通省が定めた「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。この指針により、賃貸借取引における告知義務期間について明確なルールが敷かれました。
ガイドラインでは、他殺や自死、特殊清掃を伴う孤独死などが発生した場合、「事案の発生から概ね3年間」は入居者に対して告知義務があると明記されています。つまり、「一度誰かが住めば即座に告知義務が消滅する」という従来のロンダリング手法は、法制上明確に否定されています。たとえ留学生が数ヶ月住んで退去したとしても、3年の期間内であれば次の日本人入居者に対しても事実を告知しなければ法令違反(宅地建物取引業法違反)に問われるリスクがあります。
しかし現場の取材では、契約書面の特約事項に小さな文字で記載するだけで十分な説明を行わない悪質な仲介業者や、短期滞在を前提とした留学生を次々と入れ替えるグレーな運用が完全に根絶されたわけではないという指摘も聞かれます。