中国四千年の歴史を誇る点心の世界において、小麦粉の熱変性とアルカリ性の相互作用は極めて論理的な調理科学だ。かつて『料理の鉄人』で中華の魅力を日本中に知らしめた故・陳建一氏や、現代中華のトップランナーである脇屋友詞氏の技法を振り返るまでもなく、本場の中華料理や飲茶の現場では湯水と粉の温度管理に一切の妥協がない。
日本中華料理協会に集う熟練の点心師たちも証言するように、シュウマイの皮に熱湯を用いる「湯捏ね(タンジョン法)」は、小麦粉中のデンプンを瞬時に糊化させ、独特のモチモチ感と甘みを引き出すための必須工程である。冷水で捏ねるとグルテンが強く出すぎて硬くなり、蒸した際に皮が破れやすくなるのだ。
さらに、ほんの耳かき一杯の「かんすい」を加える、あるいはかんすい入りのラーメン用小麦粉を少量ブレンドすることで、皮には淡い黄色みと独特の芳醇な香り、そして蒸し器の中でダレない弾力性が備わる。中華料理の伝統が紡ぎ出した化学反応が、小さな皮一枚の中に凝縮されている。