江口はデビュー作『すすめ!!パイレーツ』において、すでにナンセンスギャグの天才としての地位を確立していた。緻密なパロディとスピーディーなボケ・ツッコミの応酬は当時の若者を熱狂させたが、『ストップ!! ひばりくん!』ではそこに全く異なる要素が注ぎ込まれた。すなわち、甘酸っぱいラブコメディの情緒と、当時のニューウェーブカルチャーの空気感である。
本作は、ナンセンスなギャグ漫画でありながら、同時に極めてスタイリッシュなラブコメディとして機能していた。主人公・耕作を巡る恋のさや当て、ヤクザ一家「大空組」の荒唐無稽なドタバタ、そして次の瞬間には息をのむような美しいカラーイラストが挟み込まれる。この絶妙な落差が、従来の少年漫画にはなかった都会的で洗練されたリズムを生み出した。