この騒動を振り返る際、見過ごしてはならないのはテレビメディア側の責任である。当時、フジテレビジョンは鳴り物入りでスタートする新大型ニュース番組『ユアタイム〜あなたの時間〜』のメインキャスターに彼を抜擢していた。また、『情報プレゼンター とくダネ!』などでもコメンテーターとして重宝されていた背景には、視聴率至上主義に縛られたテレビ局側の切実な事情があった。
小難しい政治・経済のニュースを、分かりやすく、かつスタイリッシュに語ってくれる存在。専門的な学者よりも見栄えが良く、毒舌タレントよりも上品に場を締めてくれる「完璧な記号」。既存の報道番組が喉から手が出るほど欲していた偶像に、彼が見事に合致してしまったのだ。メディアが都合よく作り上げた虚像に彼自身もまた絡め取られていった過程は、現代のメディア空間が抱える構造的な病理を浮き彫りにしている。