この独特な麺料理のルーツは、太平洋戦争後の混乱期にまで遡る。創業者の高橋猪ライ氏が、かつて旧満州(現在の中国東北部)で味わった家庭料理の炸醬面(ジャージエミエン)の記憶を頼りに、帰国後の盛岡で再現したのがすべての始まりだった。
現地そのままの味覚を再現するのではなく、日本の素材や盛岡の人々の好みに合わせて試行錯誤が重ねられた。こうして誕生した盛岡じゃじゃ麺は、わんこそば、盛岡冷麺と並び、今や盛岡三大麺の一角として不動の地位を築いている。終戦直後の屋台から始まった小さな味が、時を超えて岩手県盛岡市を代表する名物へと結実したストーリーには、食文化の逞しい生命力が宿っている。