警察の捜査を経ても身元が判明しない遺体は、身柄が発見場所を管轄する市区町村へと引き継がれます。ここで適用されるのが、明治時代に制定された「行旅病人及行旅死亡人取扱法」です。
身元不明死者は法律上の「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」と定義され、自治体が火葬や一時保管などの事務手続きを執行します。所持金や遺留品があればその費用に充てられますが、不足分や身元引受人不在に伴う埋葬費用は、最終的に自治体の公費(税金)で賄われます。
自治体は遺体の特徴、発見日時、所持品の詳細を記録し、広く情報提供を求めるために身元不明死者としての官報情報へ公告を掲載する法定義務を負っています。しかし、一般市民が日常的に官報に目を通す機会は極めて少なく、官報公告をきっかけに身元が判明するケースは極めて限定的です。