昇段審査において、多くの射手が「的中に気を取られすぎて不合格になる」という壁にぶつかります。全日本弓道連盟の審査規定では、初段や二段において的中は必須条件ではなく、「射法八節が正しく行われているか」「基本体(立ち姿・歩き方・目線)が整っているか」が最重要視されています。
審査員席から見抜かれる、初心者がつまずきやすい決定的な落とし穴は次の4点に集約されます。
落とし穴1:足踏みと胴造りの甘さによる「三重十文字」の崩れ
足の踏み開きが広すぎたり狭すぎたりすると、骨盤の前傾・後傾を招きます。特につま先の角度が60度から大きく狂うと、的への正しい推進力が得られません。腰が反って腹が突き出る「反り胴」や、背中が丸まる「屈胴」は、胴造りの不完全さとして審査員から即座に減点対象とされます。
落とし穴2:弓構えにおける「手の内」の不備
左手で弓を力任せに握りしめる「べた押し」や、親指の付け根が上を向いてしまう手の内は、矢の飛び筋を大きく乱します。弓返り(ゆがえり)を無理に手首で作ろうとする作為的な小細工は、経験豊富な審査員の目をごまかすことはできません。
落とし穴3:会の充実がない「早気(はやけ)」と「もたれ」
現代弓道において最も深刻な病と言われるのが、会に入った瞬間に矢を放ってしまう「早気」です。公認審査では、会での静止と充実が数秒間(教本上は定まった秒数の指定はないものの、審査実務上は最低3秒〜4秒以上の伸び合い)確認できない場合、射の運行が未熟と判定されます。逆に、引く力を失って固まってしまう「もたれ」も減点要素となります。
落とし穴4:手先で弦を引っ掛けて放す「緩み離れ」
胸の中央から左右へ引き裂くように放たれず、右手の指先をパッと開いたり、右腕を後方へ緩めながら放したりする動作は、射の基本が崩れている証拠とみなされます。矢がどこへ飛んだかではなく、胸から発した力で自然に離れたかが厳しく審査されます。