『仮面舞踏会』の凄みを決定づけているのが、振付の難易度と生歌パフォーマンスの驚異的なクオリティです。当時の歌番組はフルバンドの生演奏と生歌が基本であり、現代のようなピッチ補正技術や被せ音源に頼ることはできませんでした。
ブロードウェイ仕込みのジャズダンスとストリートスタイルのキレを融合させた振付(山田卓氏による指導)は、一瞬の隙も許されない超高密度な構成でした。錦織一清のしなやかで卓越したリズム感、東山紀之の完璧な体幹と長い手足を生かしたダイナミックな跳躍、植草克秀のパワフルで安定したステップとコーラスワーク。3人の動きはミリ単位でシンクロしながら、間奏ではステージを縦横無尽に駆け巡り、バック転やハイキックを躊躇なく繰り出しました。
特筆すべきは、心拍数が極限まで上がる激しいムーブメントをこなしながら、メインボーカルから3声のハーモニーに至るまで、息切れを微塵も感じさせずに歌い切っていた点です。この超人離れした身体コントロールは、デビュー前に数千時間にも及ぶレッスンと舞台経験を積み重ねてきたからこそ到達できた領域でした。