菅田将暉という表現者の凄みを語る上で、肉体改造の歴史は避けて通れない。彼が名を轟かせた金字塔とも言える作品『あゝ、荒野』では、プロボクサーとしての説得力を得るため、階級に合わせた過酷なトレーニングと徹底した食事管理を完遂した。泥臭く生きる青年の焦燥感と熱量を身体表現で証明してみせたあの姿は、濃厚なヒューマンドラマに圧倒的なリアリズムを注入した。
骨格まで変えたかのような劇的なアプローチは、単なるビジュアルの変更にとどまらない。役の息遣いや心の痛みを、肉体を通して浮き彫りにする。それこそが彼の真骨頂だ。今回の役作りにおいても、かつてボクシングジムで削り上げたストイックなメンタリティが脈々と息づいている。