三島うなぎの美味しさの秘密、その核心は水にある。数十年もの歳月をかけて地層で濾過された富士山伏流水に数日間うなぎを泳がせる「身締め」と呼ばれる工程。これによって泥臭さが抜け、余分な脂が落ち、身がキュッと引き締まる。
安政3年(1856年)創業の「うなぎ 桜家」は、その伝統を今に伝える象徴的な存在だ。店内に一歩足を踏み入れれば、うちわで炭火を煽る職人の熱気と、代々受け継がれてきた秘伝のタレの香りが立ち込める。焼き上がった蒲焼は、箸をすっと通すだけで崩れそうなほど柔らかい。口に運べば、表面の香ばしさと内側のふっくらとした食感が同時に押し寄せる。
甘さを抑えたキレのあるタレが、鰻本来の旨味をどこまでも引き立てる。この洗練された日本料理・郷土料理の技術こそ、百数十年にわたり旅人を魅了し続けてきた真骨頂である。