二代目死神が師である初代を裏切った直接的な動機は、単なる野心や金銭目的ではありません。その根底にあったのは、「どれほど完璧に技術を模倣しても、師は自分自身(内面)を一切見てくれなかった」という強烈な見捨てられ不安と承認欲求の暴走でした。
裕福な家庭に育ちながらも空虚を抱えていた二代目は、初代死神の完璧な暗殺現場を目撃し、「この人の道具になりたい、認められたい」と弟子入りを志願しました。初代は彼を助手として引き入れ、殺しの技術や偽装術のすべてを叩き込みます。しかし、当時の初代死神は他者を「いつ裏切るかわからない道具」としてしか認識していませんでした。二代目が求めていたのは父性的な承認や視線であったにもかかわらず、初代が与えたのは冷淡な業務指示と機能としての評価のみだったのです。
「自分はどこまでいっても代えの利く手駒でしかない」。そう悟った二代目は、復讐と自己顕示のために初代を罠に嵌め、国家機関へ通報して逮捕させました。名実ともに自分が「死神」の名を継承したと誇示するための裏切りでした。
その後、捕縛された初代死神は反物質実験の被験者として、国際的研究機関の研究所へ送られます。そこで監視役兼研究員として出会ったのが、当時3年E組の担任を務めていた雪村あぐりであり、研究を主導していたのが婚約者で天才科学者の柳沢誇太郎でした。
研究室で過ごす日々のなか、初代死神は雪村あぐりの純朴で無償の優しさに触れ、人生で初めて「人を育てること」「愛すること」の尊さを知ります。しかし、反物質触手細胞の崩壊による地球爆破の危機が判明した際、暴走した施設の中で初代はあぐりを柳沢の兵器暴発によって失うことになります。死にゆくあぐりから託された「あの子たちを教えてあげて」という遺言を受け、初代死神は黄色いタコ型の超生物「殺せんせー」へと姿を変え、椚ヶ丘中学校3年E組へ赴くことになったのです。