渡辺被告とともに幹部格として起訴された今村磨人被告の公判においても、組織内部の歪んだ権力構造と苛烈な掟が白日のもとに晒されている。検察側の冒頭陳述や供述調書によれば、フィリピンのビクレタン収容所内は金銭次第で携帯電話や専用個室が買い与えられる無法地帯と化していた。そこでは、強盗被害によって得られた強奪金がリアルタイムで暗号資産に変えられ、現地での豪奢な生活費や買収資金として消費されていた。
組織内における「ルフィ」「キム」「ミツハシ」といった偽名の使い分けや、役割分担のシステムも極めて組織的だった。今村被告らの公判を通じて露呈したのは、暴力と金銭への執着によって結びついた冷酷なヒエラルキーであり、自らの手を汚さずに安全圏から他者の人生を破壊し続けた指示役たちの冷血な日常そのものである。