どの業界に身を置くかで、中央値のスタートラインそのものが大きく異なる。「勝ち組」と称される業界の代表格が「情報通信業」だ。ITエンジニアやデータサイエンティストの需要爆発を背景に、この分野の中央値は500万円を超え、30代でも600万円以上に達するケースが珍しくない。
また、高い専門性と市場流動性を誇る「金融業・保険業」も高水準を維持する。外資系や大手邦系金融では中央値が650万〜700万円台にのぼり、他業界を圧倒する。こうした成長・高収益セクターでは、平均値のみならず中央値自体が高く引き上げられており、給与水準の底上げが力強く進行している。
一方で、サービス業や飲食・宿泊業、介護福祉分野などの中央値は300万円前後に留まることが多い。産業構造の歪みと人手不足にもかかわらず賃金転嫁が進まない現実が、業界間における深刻な年収格差を生み出している。