正しければ何を言っても許されるわけではない——この意識の変化は、現代のコミュニケーションを語る上で欠かせない視点となっている。文化庁が定期的に実施する国語に関する世論調査でも、直接的な表現よりも相手への配慮を含んだ婉曲な表現を重視する傾向が年々顕著に見られる。
公共放送の現場であるNHKの放送基準や言葉遣いの指針においても、事実を伝えることと相手を過度に追い詰める言動との境界線には常に細心の注意が払われている。事実である「図星」を突きつける行為は、文脈によっては正論による暴力、いわゆる「ロジカルハラスメント」に直結しやすい。正しさという免罪符を掲げて相手の逃げ道を塞ぐ行為が、組織や人間関係をいかに疲弊させるかについて、社会全体の感度は確実に研ぎ澄まされている。