日本国内でこの技法の導入と標準化を先導してきたのが、内科医であり国立病院機構東京医療センターの総合内科科長を務めた本田美和子医師だ。本田医師は、イヴ・ジネスト氏との出会いをきっかけにユマニチュードの有用性を確信し、普及活動に着手。研究者や医療関係者とともに日本ユマニチュード学会を設立した。
同学会は、単なる精神論に留まらない学術的なエビデンスの集積に努めている。脳波測定やストレスホルモンの分析、行動観察データの蓄積を通じて、ユマニチュードの導入によって患者の抗精神病薬の使用量が減少し、介護者のバーンアウト(燃え尽き症候群)リスクが低下することを実証してきた。現場の感覚だけに頼らない科学的なアプローチが、医療従事者の信頼を獲得する原動力となっている。