いま現地で巻き起こっているのは、伊賀市役所や伊賀上野観光協会が主導する、地域の魅力を根本から再定義する観光産業のダイナミックな刷新だ。団体バスで有名スポットを巡るだけの旅から、個人が深く地域に潜り込む滞在型の旅へ。城下町の空き家をリノベーションした上質な分散型ホテルや、知る人ぞ知る隠れ家スポットが続々とオープンしている。
地元民が口を揃えて勧める極秘スポットの一つが、修験道の聖地としても知られる赤目四十八滝の奥深くに眠る修行の古道だ。苔むした奇岩と清流が織りなす幽玄な渓谷は、外界から隔絶された静寂に満ちている。さらに、散策の合間に味わうべきは幻の銘牛と呼ばれる「伊賀牛」だ。流通量が極めて少なく、ほとんどが地元で消費される希少な肉。サシが細かく入った肉をすき焼き鍋で炙れば、常温で溶け出す上質な脂の甘みが口いっぱいに広がる。美食家の舌を唸らせる地酒とのペアリングは、旅のハイライトにふさわしい。