この物語の真骨頂は、何と言ってもジャン・バルジャンとジャベールという二人の男が繰り広げる執念の追跡劇にある。出所後、司教の慈愛に触れて改心し、名を変えて市長にまで上り詰めたバルジャン。一方、法律こそが絶対的な正義であると信じて疑わないジャベール警部は、過ちを犯した人間が改心することなどあり得ないと確信している。
二人の関係は単なる「逃亡者と追跡者」にとどまらない。死線を潜り抜ける中で示されるバルジャンの無償の優しさが、ジャベールの揺るぎない信念を内側から崩壊させていく過程は極めてドラマチックだ。正義とは何か、救済とは何か。葛藤の果てに選んだそれぞれの結末は、観る者の心に深い余韻を残す。