1990年代から2000年代にかけて、彼女は日本の芸能界において確固たるポジションを確立する。『土曜ワイド劇場』をはじめとする数々の2時間サスペンスドラマで、影のあるヒロインや複雑な心理を抱える重要人物を熱演。視聴者を惹きつける陰影に富んだ演技は、ドラマ全盛期に欠かせないスパイスとなっていた。長年にわたり芸能事務所スタッフ・アップに所属し、映像の現場で第一線を走り続けた。
しかし、近年の地上波テレビにおいて、彼女の姿を見かける機会は明らかに落ち着いた。引退説や健康不安を邪推する声もあったが、真相はまったく異なる。地上波ドラマの制作環境の変化に加え、彼女自身がより濃密に観客と呼応できる表現の場へとシフトしたことが大きな要因だ。大量消費される映像の枠組みから、自らの肉声と身体で空間を支配する場へ。テレビ出演の減少は、表現の純度を高めるための主体的な選択にほかならない。