今回の事件を読み解く上で外せないのが、近年の映像エンタメにおけるトレンドの変化だ。世界的大ヒットを記録した『地面師たち』に代表されるように、現実の詐欺事件や闇社会のからくりをリアリズム満載で描く実録犯罪作品は、世界中の観客を魅了してきた。しかし、そのリアルな描写を追求する過程で、制作陣が実際の裏社会や不透明な資金源に近づきすぎたのではないかという懸念が、かねてより囁かれていた。
清水氏もまた、リアルなクライム作品の製作に異常なほどの執念を燃やしていた一人だった。「本物の裏社会を知る人物」との接触を繰り返し、取材名目で巨額の不透明資金を動かしていた形跡が捜査線上に浮かんでいる。フィクションとリアルの境界線が曖昧になった果てに、自らが犯罪の当事者へと転落していく皮肉な構造がここにある。