妊娠中の身体は、非妊娠時とは全く異なる血流動態を示している。特に下肢の静脈は赤ちゃんの重みで圧迫されやすく、血液が滞りやすい。ここに強い圧迫を加える行為が、どれほど危険か想像できるだろうか。医学的な見地から見ると、足裏やふくらはぎのマッサージは、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)によって生じた血栓を血流に乗せ、肺の血管を詰まらせる「肺塞栓症」を引き起こすリスクを孕んでいる。
また、東洋医学やリフレクソロジーの分野において、足裏の「かかと」周辺は生殖器(子宮や卵巣)の反射区とされている。ここを強く刺激することは、子宮収縮を促し、最悪の場合、切迫流産や胎盤早期剥離といった母子の命に関わる事態を誘発しかねない。良かれと思って受けたケアが、一瞬にして牙をむくのだ。