ダーウィンの進化論に基づけば、自然淘汰を生き残るのは「最も強い利己的な個体」のはずだった。しかし、現実は異なる。人間を含む多くの社会性生物は、群れの中で互いに助け合う。なぜか。集団全体の生存率を高めるためには、個々の利他的な行動が不可欠だったからだ。
裏切り者ばかりの集団は、短期的には個々が利益を得ても、長期的には内部崩壊する。一方で、互恵的なルールを守り、困った時に助け合う集団は、厳しい自然環境や外敵の脅威を乗り越えて生き残ってきた。私たちの血管には、何万年もの淘汰を勝ち抜いた「利他の遺伝子」が流れている。