では、「一番大吉が出ると次は凶になる」という噂に科学的・歴史的な根拠はあるのだろうか。日本の現代おみくじの原型とされるのが、平安時代の高僧・慈恵大師良源の霊感に由来する元三大師御籤である。全100番からなるこの伝統的なおみくじ体系において、第一番は確かに「大吉」に割り当てられている。
この元三大師御籤の伝統を頑なに守り続けている東京の浅草寺では、引いたくじのうち約30%が「凶」であることで知られる。そのため「浅草寺で一番大吉を引いた後、浮かれているとすぐに凶のどん底に突き落とされる」といった体験談が口づてに広まった。しかし、慈恵大師良源が残した漢詩を紐解いても、第一番のメッセージは「おごることなく徳を積めば、繁栄は長く続く」と解釈すべきであり、決して不幸の予告ではない。噂の正体は、頂点に立った者の油断に対する古くからの戒めが変形したものなのだ。