かつて豊洲のIHIステージアラウンド東京で展開された巨大な円形客席の旋回演出は、今なお語り草だ。観客の視界を覆い尽くす超大型スクリーンと、舞台上に組み上げられた圧倒的な美術装置。ゲーム内でプレイヤーが旅した「スピラ」の壮大な風景が、客席の回転とともに次々と目の前に現れる感覚は、まさに体験型演劇の極致であった。
「劇場に入った瞬間から、そこは劇場ではなくスピラだった」。当時劇場に足繁く通った熱狂的なファンはそう振り返る。デジタル技術による背景描写と、アナログな舞台装置の転換が見事に同期し、観客はまるでゲームの主人公たちとともに旅をしているかのような錯覚に陥ったのだ。