SNSやネット掲示板、Q&Aサイトには、装飾のない「本物の苦境」を味わった市井の人々の肉声が溢れています。数千件、数万件のリツイートや「いいね」を集めたフレーズを分析すると、共通して浮かび上がるのは「義務の解除」です。
ある大手掲示板で鬱病休職を経験したユーザーが投稿し、爆発的な共感を呼んだ言葉があります。
『「頑張れ」でも「明日は良くなる」でもない。一番救われたのは、産業医に言われた「もう会社のこと、全部どうでもいいと思って布団に入りなさい」の一言だった』
当事者の証言を丹念に追うと、追い詰められた人間が真に求めているのは、前へ進む推進力ではなく、「立ち止まり、投げ出すことへの免罪符」であることが分かります。責任感の強い人ほど、「途中で投げ出してはならない」という自己規範に縛られて身動きが取れなくなっています。「壊れるくらいなら、逃げ出して仕事を放り出した方が100倍マシだ」という生々しいリアリティを持った言葉こそが、現場で戦う人々を寸前のところで踏みとどまらせているのです。