仙台は言わずと知れた「学都」である。東北大学をはじめとする多数の大学や専門学校が集まり、街の人口構成における若者の比率は極めて高い。当然、そこで働くキャストの多くも現役の学生たちだ。
以前のような違法な路上キャッチやグレーゾーンの接客を排除するため、仙台市と地元商店街振興組合はここ数年、クリーンな街づくりに向けた独自のガイドラインを厳格に運用してきた。その結果、健全化が一気に進み、学生たちが安心して働けるアルバイト先としての認知が確立された。親や大学の友人に隠すことなく「メイドカフェで接客の勉強をしている」と公言するキャストも珍しくない。
文学部に通う大学4年生のミオさんは、就職活動の面接でもこの仕事の経験を語ったという。「マニュアル通りの言葉を並べるのではなく、目の前の人が今どんな言葉を欲しているのかを察知する力。それは居酒屋の配膳バイトでは決して学べない対人スキルでした。理不尽な要求をするお客さんをスマートにかわす術も含めて、社会に出る前の最高の訓練場だったと感じています」。彼女の凛とした眼差しを見ていると、この場所が若い表現者たちの一種のインキュベーターとして機能している実態が浮かび上がってくる。