来館者の減少と裏腹に、急成長を遂げているのがデジタル領域における情報アクセスだ。日本の知の総本山である国立国会図書館は、数百万点を超える絶版書や貴重資料のデジタル化を進め、オンライン上で参照できる国立国会図書館デジタルコレクションのサービスを飛躍的に強化した。かつては東京・永田町や京都の館に行かなければ閲覧できなかった膨大な文献が、今や個人の端末から瞬時に引き出せる。
さらに、民間が開発した蔵書横断検索サービスカーリルの普及も、読者と図書館の距離感を大きく変えた。日本全国の図書館蔵書を一発で検索し、貸出状況をスマートフォンの画面上でリアルタイムに把握できる環境が整ったことで、「あらかじめ予約し、貸出カウンターで受け取るだけ」という合理的な利用スタイルが定着。結果として、館内で目的もなく滞在し、偶発的に本と出会う機会が減少し、数字上の「滞在型利用者」を大きく押し下げる要因となっている。