都内のある認可保育園を訪ねると、2歳児クラスの壁一面に、色とりどりの手作り装飾が施されていた。時計の針の横、本棚の隙間、ドアノブのすぐ上。あちこちに潜む小さな赤い魚を見つけるたび、園児たちは指を差し、弾けるような声をあげる。
現場の保育士は語る。「タブレット教材も導入されていますが、空間全体を使った『宝探し』に勝る興奮はありません。印刷したイラストをラミネート加工して部屋中に仕掛けるだけで、教室全体がひとつの冒険の舞台に変わるんです」。
近年では、視覚探索遊び(ビジュアル・トラッキング)としての側面に注目する発達心理の専門家も少なくない。自らの足で歩き、首を傾げ、背景と対象物の差異を見分ける。この身体性を伴う探索行動のトリガーとして、あのアイコニックな金魚は理想的な輪郭を備えている。