この料理の成否を分ける最大の分水嶺は、ナスの油っぽさと鶏肉のパサつきをいかに防ぐかという点にある。ナス(茄子)は構造上、スポンジのように油を無限に吸い込んでしまう性質を持つ。これを制御する鍵は、加熱前の下ごしらえにある。
ナスは乱切りにした直後、薄い塩水に数分さらすか、全体に小さじ1杯程度の油をあらかじめ手で絡めておく。これだけで加熱時の無駄な吸油を劇的に抑え、果肉の水分を閉じ込めたままトロトロの食感へ導くことが可能になる。
一方の鶏もも肉は、余分な黄色い脂肪と筋を包丁で取り除き、火の通りを均一にするために厚みを揃えて削ぎ切りにする。片栗粉を薄くまぶしてから皮目からじっくり焼き付けることで、肉汁を閉じ込めたジューシーな仕上がりと、調味料がよく絡む絶妙なとろみが同時に生まれる。