ここ数年、全国各地のショッピングモールやファッションビルでナノ・ユニバースの退店が相次ぎ、ファンの間では「ナノユニバース 閉店 理由」を巡る憶測が飛び交いました。一部ではブランド自体の衰退を疑う声も上がりましたが、アパレル業界の構造と公式決算資料を紐解くと、極めて合理的かつ攻めの経営判断が浮かび上がってきます。
ブランドを傘下に収めるTSIホールディングスは、中期経営計画において徹底した不採算事業の見直しと「OMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)」の強化を掲げてきました。かつてのように全国津々浦々へ小型店舗を乱立させる拡大路線は、過剰在庫と固定費の増大を招き、利益率を圧迫するリスクを孕んでいます。同社はEC売上比率が40%を超える水準へとシフトする消費動向を見据え、面積が狭く世界観を伝えきれない地方小型店をあえて整理し、高収益が見込める都市部の大型拠点へと経営資源を集中させる道を選びました。
取材に応じたアパレル経営コンサルタントは次のように指摘します。「かつてのセレクトショップは店舗数そのものがブランド価値でしたが、現在はスマートフォン上で商品選定を完結させる顧客が主流です。リアル店舗に求められる役割は、単なる『服の陳列場所』から『ブランドの世界観を五感で体験し、サイズや質感を納得するためのショールーム』へと完全に変容しました」。つまり、一連の閉店ラッシュは縮小均衡ではなく、ブランド体験の質を高めるための意図的な筋肉質化だったというわけです。