ノブの人生において最も激しい感情の波を生んだのが、もう一人の主人公であるハチこと小松奈々との恋模様だ。ライバルバンドであるTRAPNESTのリーダー・タクミとの複雑な関係に傷ついていたハチを、ノブは圧倒的な包容力と無償の愛で優しく抱きしめた。二人がアパートの四畳半で過ごした短い時間は、作品全体の中でも屈指の美しさと温もりを放っている。
しかし、その幸福は長くは続かなかった。ハチの妊娠、そして子供の父親がタクミかもしれないという衝撃の事実が発覚する。ノブはハチを愛しながらも、彼女と生まれてくる子の未来を優先せざるを得ない葛藤の末、引き下がる選択をした。一瞬のすれ違いが永遠の別れへと変わったあの悲劇的な夜の描写は、少女漫画史に残る屈指の切なさとして語り継がれている。