時計の針を少し巻き戻そう。彼女の原点は1974年の名曲「雨だれ」にある。当時、芸能界の巨大潮流の中心にいた渡辺プロダクションに所属しながら、彼女が放っていた個性はどこか異質だった。クラシックのピアノ演奏力に裏打ちされた端正なメロディラインと、少女の純粋さを封じ込めたような歌声。テレビ全盛期のお茶の間は、瞬く間にその世界観に引き込まれた。
既存のアイドル像に収まりきらない音楽的素養。渡辺プロダクションの育成システムと彼女自身の天賦の才が融合した瞬間、70年代のポップシーンに新たな地殻変動が起こった。