音楽評論家やボイストレーナーの間でも、二人の歌唱力比較は常に熱い議論の対象となってきました。血縁関係にありながら、その発声メカニズムと表現手法は極めて対照的です。
倖田來未の歌唱力の真骨頂は、「ハスキーな中低音の倍音成分」と「ブラックミュージック仕込みの強靭なリズム感」にあります。激しいダンスを踊りながらもピッチ(音程)を外さない体幹の強さ、吐息を交えたウィスパーボイスから力強いベルトボイスへの滑らかなグラデーションは、国内女性ソロシンガーの中でも屈指の完成度を誇ります。ライブ空間を完全に支配するエンターテインメント力も彼女の歌声を支える大きな要素です。
対してmisonoの最大の武器は、「共鳴腔をフルに使った圧倒的な声量と音圧」、そして「突き抜けるストレートなハイトーン」です。ビブラートをあえて多用せず、胸から頭部へとダイレクトに響かせる直線的な発声は、疾走感のあるポップロックや切ないバラードで聴き手の感情を瞬時に揺さぶります。dat時代の名曲群で見せた透明感と切なさを両立させたボーカルは、現在も多くのアーティストから高く評価されています。
技巧とグルーヴで魅せる姉・倖田來未と、天性の声量と剥き出しのパッションで圧倒する妹・misono。二人の歌声は「どちらが優れているか」という優劣ではなく、「個性の異なる二大頂点」として評価されるべきものです。