愛知の高校野球ファンにとって、「享栄」の名は特別な響きを持つ。泥臭く、泥にまみれながらも泥臭い勝負強さで相手を叩きのめすスタイル。それがかつての享栄の真骨頂だった。しかし、時代の変化とともに全国大会の舞台から遠ざかる期間が長引くと、いつしか「私学4強の中で唯一、壁を破れない」という重圧がチーム全体を覆うようになった。
地方大会の決勝や準決勝で幾度となく立ちはだかったのは、ライバル校たちの厚い壁だった。あとアウト3つ、あと1球という場面でスルリと逃げていった勝利。積み重なる敗戦の記憶は、時に選手の足枷となった。だが、現在の首脳陣と部員たちは、その呪縛を正面から見据え、打ち破るための具体的なアプローチを開始している。