巨額の債務超過、不正会計発覚、そして米原発子会社の破綻。株式会社東芝を襲った連続する危機は、海外投資ファンドによる資本注入という形で一時的な延命を図るしかなかった。しかし、その代償は大きかった。株主総会は荒れ極まり、経営陣と海外株主との不協和音は限界に達した。
この泥沼化させた局面を打ち破るべく動いたのが、国内系ファンドである日本産業パートナーズ(JIP)である。巨額の資金調達を成功させた背景には、三井住友銀行をはじめとする主要邦銀群が融資枠(コミットメントライン)を設定し、全面支援へ回った事実がある。外資による「解体切り売り」を阻止し、日本の産業基盤と重要技術を国内に留め置く——。この「東芝TOB非公開化プロジェクト」の裏には、官民双方の思惑と焦燥が複雑に入り組んでいた。