柳橋の真の価値は、単なるインスタ映えする朝食スポットではない。この場所が機能不全に陥ったとき、最も打撃を受けるのは名古屋の独立系飲食店たちだ。
大手のセントラルキッチンを持たない小規模なビストロや居酒屋、割烹にとって、毎朝市場に足を運び、仕入れ値の交渉をし、その日一番の食材を少量ずつ調達できるインフラは生命線に等しい。配送トラックが運んでくるパック詰めの魚では、料理人のクリエイティビティは育たないのだ。市場の仲買人との世間話から生まれる新しいメニューがあり、不揃いな規格外品を安く引き取ることで成立する街角の良心的なランチがある。このビルは、巨大資本のチェーン店に街が塗りつぶされるのを防ぐ、食文化の防波堤として機能している。