インテリアや建築を検討する際、最も混同されやすいのが「プロヴァンス風」と「フレンチカントリー」の違いです。どちらもフランスの田園風景をルーツに持ちますが、地理的環境と文化的背景が根本的に異なります。
フレンチカントリーは、主にパリ近郊や北フランスのノルマンディー、シャンパーニュ地方などの農家住宅や貴族の別荘(シャトー)がベースになっています。日照時間が短く曇りがちな北仏の気候に合わせ、室内を明るく見せるために「シャビーシック」と呼ばれるホワイト、ライトグレー、ペールブルーなどの寒色系やくすんだ淡色が多く使われます。家具も猫脚やロココ調の優美な彫刻を施し、ペンキの剥がれを再現したエイジング加工が好まれます。
これに対し、プロヴァンス風は地中海沿岸の「南欧風」に属します。太陽の恵みや大地そのものを想起させるテラコッタオレンジ、オーカー(黄土色)、オリーブグリーン、ラベンダーパープルといった暖色系のアースカラーが主役となります。家具も華奢な曲線よりは、素朴なパイン材やオーク無垢材をそのまま使った、頑丈で厚みのあるフォルムが選ばれます。
住宅内で本格的な南欧風インテリアコーディネートを構築する場合、部屋の出入り口やキッチンの下がり壁を緩やかなアーチ状にする「アール(R)開口」を取り入れると、直線主体の現代住宅にはない柔らかな包容感が生まれます。また、天井にダークブラウンに塗装した化粧梁を露出させることで、古民家のような構造美と高い天井高を演出し、空間全体に落ち着きをもたらします。