債務の引き継ぎを検討する際、必ず比較対象に挙がるのが「重畳的債務引受(ちょうじょうてきさいむひきうけ)」と「債務者交替による更改(こうかい)」です。名前は似ていますが、法律上の効果と当事者が背負うリスクは180度異なります。
まず、重畳的債務引受との違いを一言で表せば、「元の債務者が抜けるか、残るか」です。重畳的債務引受(民法470条)では、旧債務者も返済義務を負ったまま、新たな引受人が「連帯債務者」として追加されます。債権者からすれば回収相手が2人に増えるためメリットしかなく、比較的審査も通りやすいのが特徴です。一方、免責的債務引受は旧債務者が完全に戦線離脱するため、債権者側の審査ハードルは格段に跳ね上がります。
次に、債務者交替による更改(民法514条)との違いです。更改は「古い債務を完全に消滅させ、まったく新しい債務を新債務者との間で発生させる」契約です。これに対して免責的債務引受は「同一の債務」をそのまま新引受人へバトンタッチします。債務が同一のまま維持されるため、借入金に付着していた抗弁権(過払い金や時効の主張など)も原則として引き継がれます。
各スキームの違いと実務現場における評価を以下の比較表にまとめました。