結婚後まもなく、外務官僚である夫の辞令に伴い、ふたりは中国・北京への海外赴任を経験します。外交官の妻として異国の地に身を置く生活は、作家・綿矢りさにとっても大きな転機となりました。
北京での生活は、当時の大気汚染問題や生活環境の違いなど、日本とは異なる苦労も少なくありませんでした。しかし、綿矢さんはこの経験を前向きに捉え、異文化の中で暮らす人々の息遣いや空気感を自身の五感で吸収していきました。現地での日常や夫との奮闘記は、のちに執筆されたエッセイ集や小説作品の瑞々しい描写にも鮮やかに反映されています。
見知らぬ土地で互いを支え合いながら生活を共にしたこの北京赴任の数年間が、ふたりの夫婦の絆をより強固なものにしたことは間違いありません。