かつて麻薬王として世界にその悪名を轟かせたホアキン・グスマン(エル・チャポ)。彼がアメリカの最高警備刑務所に収監されて以降、シナロア・カルテル内部では「ロス・チャピトス」と呼ばれる息子たちの派閥と、古参幹部派閥による激しい主導権争いが勃発した。カリスマ的指導者を失った組織は一枚岩ではなく、内部分裂による流血が各地で頻発している。
その間隙を縫うように圧倒的な軍事力で領土を広げたのが、ネメシオ・オセゲラ・セルバンテス(エル・メンチョ)率いるCJNGだ。特殊部隊出身者を教官に迎えて組織された私設軍隊は、ロケットランチャーや対物ライフルで武装し、公然と軍や警察を奇襲する。エル・メンチョの徹底した恐怖統治と規律は、旧来のカルテルが持っていた家族主義的な結束を暴力で粉砕し、裏社会のパワーバランスを不可逆的に塗り替えた。